"イベント2023"カテゴリーの記事一覧
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「東京・学校図書館スタンプラリー」実行委員会では、現役の作家と中高生が直接出会う場を設けることで、生徒たちが刺激を受け、未来の作家や読者に育ってほしいと願っています。作家講演会は2016年度にスタートしました。今回は8回目で、久々の完全対面開催となりました。
2023年12月10日(日)の午後、都立立川国際中等教育学校・附属小学校ラーニングコモンズを会場として、小中高生対象の作家講演会を開催しました。今回は会場が広かったこともあり、小中高生46名、保護者8名、学校関係者31名で、合計85名の参加となりました。
今回の講演にお迎えしたのは、逢坂冬馬さん(逢坂冬馬さん Xアカウント、インスタグラムアカウント)です。逢坂さんは、埼玉県出身。2021年、『同志少女よ、敵を撃て』で第11回アガサ・クリスティー賞を受賞しデビュー。2022年、同書で第19回本屋大賞受賞。2023年、第2作となる『歌われなかった海賊へ』、姉の奈倉有里さんとの共著『文学キョーダイ!!』を出版されました。
今回の講演は、事前に集めていたアンケートからの質問に答えていただく形で始まりました。
まずは「作家になった理由」をお聞きしました。参加者の中に、小説家になりたいと考えている生徒がいたので、励ましの言葉とともに、小説を書くときのアドバイスをいただきました。
次に『同志少女よ、敵を撃て』については、マイノリティ、ジェンダー、そして出版後に始まってしまったウクライナ侵攻の話などについてじっくりとお話しくださり、参加者が皆聞き入っていました。
生徒からの質問にもたくさん答えていただきました。雪下まゆさんのすてきな表紙イラストのお話や登場人物の名前の決め方、小説の意義など、とても興味深く、あっという間に時間が過ぎていきました。中でも「共感」についてのお話は、今までの「共感」のイメージが変わる体験となりました。
今回、作家講演会のために貴重なお時間を提供していただきました逢坂冬馬さんに、深く感謝申し上げます。今後さらなるご活躍を心よりお祈りいたしております。
そして、「学校図書館は、あってよかったと思える場所」だと言っていただき、学校図書館関係者としてとても元気が出ました。どうもありがとうございました。
(東京・学校図書館スタンプラリー実行委員会)
〈生徒の感想〉 抜粋 私はまだ書き始めですが少し小説を書いています。ですが最近何を書いていいのか分からずずっと書けていません。だからこそ今日の話を聞いてとりあえず最後まで書き切る、自分が表現したいこと、書きたいことを最大限の能力を使って書くことを意識して書こうと思うことが出来るようになりました!本当に良い経験になったと思います!
今日の講演会、本当にありがとうございました。
(中学1年生)歴史や経済、軍事についてもともと興味があった私にとって、「同志少女よ、敵を撃て」は更にこの世界にのめり込むきっかけになりました。
講演会でお話しいただいた、登場人物の話に関しては、ライバルであり、類まれなる才能を持った彼女なら物語終盤まで主人公とともに行動し、大きな活躍を成し遂げることだろうと思いました。ですが実際は形も残らぬほどあっさりと死んでしまった。あの場面を読んだときの衝撃はこころに刺さるものでした。この本は物語というよりも、実際にあったかもしれない戦争の一部始終を記録したのではないかと考えていました。そして今回お話を聞いてあの場面は戦争の無慈悲さを表しているのだと聞くことができ、すっと腑に落ちました。
(中学3年生)「同志少女よ、敵を撃て」は、今までの読書人生で一番泣きました。主要登場人物全員が、戦争のない世なら真っ当に生活できる善性をもつ人達なのに、戦争が殺し合わせ、人を歪めていくその描写がとても辛かったです。
ドイツ兵捕虜の尋問のシーンは辛いけど一番大好きなシーンです。戦争が歪ませるものの核心を見た気がしました。
今回の講演でより、本の解像度も深まりましたし、現実の戦争についての葛藤のお話もとても興味深かったです。
小説を通じて「共感できない」を「共感できる」枠に入れる、という解釈が、今まで戦争小説を読んで感じていた感覚を的確に表されていて、とても腑に落ちました。これからの読書、世界の見方についてもとても参考になるアドバイスをありがとうございました。
(高校1年生)質問に答えてくださり、ありがとうございました。
私は図書館司書になることが夢なので、逢坂さんの書かれる本のような登場人物を読者とつなげる読書体験を提供できる司書になりたいと思いました。かねてより逢坂さんの書かれる著書に影響を受けていたので、今回お話を聞くことが出来て大変勉強になりました。
次回作も楽しみにしております。改めまして、講演会に来てくださり本当にありがとうございました。
(高校1年生)とても貴重な講演を有難うございました。初めて自分の意志で講演に行くことに決めたのでとても良い記念になりました。
講演の中でも触れられていたのですが、『同志少女よ、敵を撃て』の登場人物の名前がすごく考えられていて綺麗だと思います。あと、タイトル回収が好きです。
読んでみたい、と思う題材がありすぎて書ききれないのですが、おもに戦争系です。個人的には、スペインが好きなのでスペイン内戦(ゲルニカ空爆)やベトナム戦争の中のアメリカサイドの枯葉剤作戦(植物好きの人物が自ら平和のために自然を壊していく的な話)あたりを読んでみたいです。
(高校1年生)武器が好きな気持ちと戦争を望まない気持ちの矛盾や葛藤は、私自身すごく感じていました。私の場合は、戦闘機がとても好きで作りたいけどそれは戦争に加担することなのかもしれない、と思い、進路選択に迷っています。だから、射撃に魔術的な魅力を覚えてしまう狙撃兵に少し共感していました。それに関する逢坂さんの考えが聞けてよかったです。
多様性を尊重しようとする現代の風潮の中で、人と違う部分を意識しがちだけれど、似ている部分だってたくさんあるよねっていうのを思い出しました。「自分が誰よりも知りたいと感じているから書く」という言葉が印象的でした。
お話全体を通して、理想を追い求めていいんだ、という気持ちになりました。共感不可能だと思ってしまうものに対して、相手の思いを想像することを諦めない自分でいようと決めました。
私も学校図書館の静かで明るい空気が大好きなので、それを肯定してくださったことが本当に嬉しかったです。質問に答えて頂けたのも嬉しくて、頑張って手を挙げてよかったです。ありがとうございます。
(高校2年生)
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- 第25回(2023年) 図書館総合展
- みちねこステーション
スピーカーズ・コーナー
2023年10月25日(水)13:15~14:00
みちねこ(木下通子)さんのイベント
「みちねこらぼ」に、
スタンプラリー実行委員2名がゲスト参加しました。
スタンプラリーの歴史と、本紹介冊子や
冊子をまとめて出版した本、作家講演会について、
また、スタンプラリーの運営についてお話しました。
- Library of the Year 2023 最終選考会 2023年10月25日(水) 15:30~17:00
Library of the Year 2023 最終選考 記録動画の公開(2023年12月31日までの期間限定公開)
会の中では、Library of the Year 2023 第二次選考会で受賞が決定したライブラリアンシップ賞の表彰式も行われました。【 Library of the Year 2023 授賞理由 】
委員長がライブラリアンシップ賞
受賞スピーチを行いました。会終了後の受賞者記念撮影
Facebook 記事東京・学校図書館スタンプラリー
実行委員会メンバー
会参加者 記念撮影
Library of the Year 2023
ライブラリアンシップ賞トロフィー
- みちねこステーション
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都立多摩図書館では7月22日(土)~9月30日(土)、企画展示「みなさんの選書を応援します―都立多摩図書館のおすすめ本-」が開催されています。この展示に「東京・学校図書館スタンプラリー」が2019年に出版したブックガイド『もっとある!学校図書館の司書が選ぶ小中高生におすすめの本220』(ぺりかん社刊)も一緒に展示されています。この企画では、都立多摩図書館の展示エリアで多摩図書館が作成したブックガイドで紹介している本の現物が展示されています。
会場に入ってすぐの正面に『おすすめの本220』で紹介している本が、ほぼ全点並べられています。本は分類記号順に並べられており、本から複製された紹介文も挟みこまれています。本を紹介するキャッチコピーや紹介文を読み、実際に本を手に取ることができます。200冊以上の本を一度に見る機会はあまりないので、実際に並んでいるのを見るのは壮観です。多くの方が実際に本を手に取り、見てくれるといいなと思いました。近くの柱には、実行委員長のコメントも展示されています。この本が作られた経緯や「東京・学校図書館スタンプラリー」について触れられているので、こちらも一緒にご覧ください。ブックガイドに込められたわれわれ学校司書の思いを知ることができます。
会場には一面に本が並べられています。担当者によると1000冊以上はあるのではないかとのことでした。読み聞かせに適した絵本から、中学生におすすめの本や高校生におすすめの本、大人に向けておすすめする本まで、幅広いジャンルの優れた本が集められています。どれも学校図書館にあるといい本ばかりです。学校図書館に関心のある方や、読書が好きな方はぜひ足をお運びいただき、新たな本と出合ってもらえるといいなと思っています。(東京・学校図書館スタンプラリー実行委員長 杉山和芳) -
夏休みの学校図書館公開が、本格的に再開されます。
今年の公開校は、32校を予定しています。
スタンプの数に応じた参加者プレゼントもあるので、ぜひご参加ください!
・第10回 東京・学校図書館スタンプラリー2023 2023年7月17日~8月27日
・「東京・学校図書館スタンプラリー2023」公開校一覧
・「東京・学校図書館スタンプラリー2023」チラシ(PDF) 表面 裏面
☆最初に訪問した学校で、チラシ(兼スタンプ台紙)と「おすすめ本小冊子」を差し上げます。
☆5校・10校達成プレゼントの詳細と応募用紙は→こちら←からご覧ください。
応募用紙は、各学校でもご用意しています。公開校一覧は、随時新しい情報に更新しますので、図書館訪問の際にはご確認をお願いいたします。
また、天候悪化による開催中止などの緊急連絡は、このホームページと各学校のホームページとでお知らせする予定です。
・都立多摩図書館では、夏休みの企画展示「みなさんの選書を応援しますー都立多摩図書館のおすすめ本ー」というイベントが、2023年7月22日から9月30日まで実施されます。その中で、東京・学校図書館スタンプラリー実行委員会作成の『もっとある!学校図書館の司書が選ぶ小中高生におすすめの本220』(ぺりかん社)収録作品も全点展示していただけることになりました。ぜひご覧ください。