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「東京・学校図書館スタンプラリー」実行委員会では、現役の作家と中高生が直接出会う場を設けることで、生徒たちが刺激を受け、未来の作家や読者に育ってほしいと願っています。2016年からスタートした作家講演会は、今年で記念すべき10回目となりました。今回は、スタンプラリーに特別参加をしてくださった東京都立多摩図書館2階のセミナールームにて、2025年11月9日(日)午後、たくさんの中高生を迎えて作家講演会を開催することができました。当日は保護者やスタッフも含め、合計65名が参加しました。
今回講演会にお迎えしたのは、浅倉秋成さんです(Xはこちら)。浅倉さんは、1989年生まれ、出身は千葉県です。デビュー作は『ノワール・レヴナント』(2012年)で、第13回講談社BOX新人賞を授賞されています。その後『六人の嘘つきな大学生』『俺ではない炎上』などヒット作が多数出版されています。
浅倉さんは、事前にお渡しした中高生からの質問を元に、1.子どもの頃について、2.作家になるまで、3.作家になってから、4.創作について、という構成でお話しくださいました。どれも興味深いお話でしたが、デビューに至るまでのお話には驚かされました。そしてとても面白かったです。高校時代に小中学校の同級生だったお笑いコンビ・レインボーのジャンボたかおさんとコンビを組んでM-1甲子園(現:ハイスクールマンザイ)の予選に出たという経歴があるぐらい、実は笑いを取ることがお好きと聞きましたが、納得です。
小学生だった浅倉さんは、本を読み始めたら人の声も聞こえなくなるという同級生をかっこいいと思っていたそうです。ある時、読書感想文に何を読んだらいいかを彼に尋ねると『吾輩は猫である』を推薦され、頑張って読んでみたものの、途中で挫折。以後、本は自分には読めないものとバッサリと切り捨て、もっぱら漫画を読み耽る。中高時代にまともに読んだのは2冊のみ。
そんな浅倉さんが、大学生になりアルバイト先の知人から誕生日のプレゼントに1冊の本をもらいました。内心、困ったなぁ、読めないのに……と思いつつ、でも読まないのも悪いかと読み始めたところ、これが実に面白くてあっというまに完読。「なんだ、俺にも本が読めるじゃないか!」とこの時の衝撃は半端なかったようです。書店に行けば漫画コーナーしか行かなかったのに、そこに置いてあるすべての本が読めるものだとわかり、まるで今まで1面しか使えなかったゲームがいきなり2面に広がった感覚だったとか。この時プレゼントにもらった本が、東野圭吾著『容疑者Xの献身』でした。以後、村上春樹、伊坂幸太郎と読み進めていくのですが、そこから山のように本を読んで作家へと思いきや、4冊程読んだところで、いきなり小説を書いて講談社BOXへ応募。これが落選すると、次は社会人の傍ら執筆し、2つの作品を応募。このうちの1冊がデビューにつながったというから、ただものではありませんね。小説を書くきっかけは、大学でたまたま受講した授業が、全員が書いてきた作品を、誰が書いたかわからない状態で毎回合評するというもの。そこで創作の面白さに目覚めたことが、今につながっているのですね。だから大学では、一見関係ないと思う授業もとってみるといいと、中高生に薦めていました。
この後のお話は、実際にどうやって作品を書いているのか、日々の生活の様子や、編集者さんとのやりとり、1冊の本ができるまでを、手の内を明かすかのように語ってくださって、あっという間に時間が過ぎていきました。
質問タイムでは、中高生から途切れることなく、たくさんの質問が出て、それらに丁寧に答えてくださいました。また、終了後のサイン会では、持参した著書にサインをしながら一人ひとりに声をかけてくださって、サインの列がなくなったのは、講演から1時間をたっぷり過ぎた頃でした。
今回、浅倉さんに講演をお願いしたのは、中高生のビブリオバトルで必ず取り上げられる作家さんで、しかもチャンプ本に輝く確率も高いからと、実行委員長の杉山さんが言っていました。さらに、当日参加した中高生が浅倉さんにお会いできて感激していた様子を見て、若者にも人気の作家さんであることが伝わってきました。
貴重な時間を割いて講演いただいた浅倉さん、参加くださったみなさん、本当にありがとうございました。
(東京・学校図書館スタンプラリー実行委員会)
浅倉さんを中高生が囲んで「はい、ポーズ!」
生徒の感想(抜粋) 本は多くの人が関わっているのだろうと前からも思っていたが、今回の講演を聞いて、感じたことがある。勿論、本には多くの人、それも僕には想像できないほどの人が関わっている。しかし、それは数ではなく、人であって、その中の一人は、百人集めても足りないほどの、数では表せない影響を本自体とその周りに及ぼしている。そんな力が数多く集まってできたものだから、本は莫大な力を秘めているのだと思う。
(中2)事前に浅倉さんのご著書を何冊か読ませて頂いてから講演会に参加した者です。参加する前は「こんなすごい本、内面から常人とかけ離れている方が書いたんだろうなあ・・・」と思っていたのですが、実際にお話を聞いてみると凄く気さくな方で、とても楽しませて頂きました。もっと浅倉さんの本が読みたくなったし、聞いた後で読み返したくもなりました。
(中2)僕の大好きな小説家が目の前にいるのがとても嬉しかったです。その上、お話が分かりやすく、何より面白い!!!短編集が苦手というのも共感してもらえてよかったです。でも『まず、良識をみじん切りにします』は読もうと思います。
(高1)今日の講演会、とっても楽しかったです!!このような作家さんの講演会に来るのは初めてだったのですが、来て良かったと思えました。『六人の嘘つきな大学生』で浅倉さんのことを知ってから、少しずつ過去の作品を読みあさっています。中学でスマホを持ってから、(本を読まなくなった私に)本の面白さを私に再発見させてくれたのは浅倉さんです(笑)。今日の講演会で浅倉さん自身のことも大好きになりました!これからもたのしい作品を待っています!頑張ってください!
(中2) -
2025年8月20日(水)、都立立川国際中等教育学校へ伺いました。
入口の案内がありました。
ラーニング・コモンズ(図書館)の入り口で生徒さんが受付をしてくれました。
館内は明るく、開放的な雰囲気です。
「科学道100」の展示スペースには、地球儀がありました。
「ジュニスタ(岩波ジュニアスタートブックス)」コーナーは生徒に好評で、1か月限定のつもりが延長しているそうです。
『としょかんライオン』や『あるかしら書店』は様々な言語で揃えられていました。
立川市立図書館の利用案内や冊子が充実していました。
ゆっくり館内を見学させていただき、ありがとうございました! -
2025年8月19日、都心から300キロ離れた八丈高校図書館を訪問しました。羽田から八丈島空港までの水平飛行時間は10分ほど。
入るとすぐにクジラのキャラクターがお出迎え。現在、名前を募集中とのこと。
スタンプラリー参加者は、八丈島の地図におすすめ本を書いて貼っていきます。
戦後80年にちなんだ特集コーナー
社会科の先生方による推薦図書教員との連携は大切なポイントですね。
こうした隠れ家的なスペースは、利用者がほっとできる大切な空間ですね。
絵本コーナーの充実ぶりがすばらしい。家政科の生徒さんに人気だとか。
まさに、地域密着です
図書委員による選書も多種多様。
一番の見どころは生徒さんによる地域研究レポートです。
「黒潮による漂流物の研究」、「八丈島の防災と島内にあるAEDについて」、「黄八丈について」など、この島のあらゆることが学べます。都心の大学に進学しても、やがて島に戻ってくるケースが多いということも頷けます。
あえて「フィールドワーク」という言葉を使わなくても、この島にいれば、「学び=実地」になるのですね。
「南海タイムス」
1931年(昭和6年)から2020年(令和2年)まで90年間発行されていた地元紙です。
「東京七島新聞」
普段、なかなかお目にかかれない地方紙には、生活に密着した情報が満載。
地域の公民館を含めて島全体が、読書に力を入れていることがわかります。
みなさんもぜひ、「八丈島検定」に挑戦してみてください!
休日には地元の大人にも開放しているとのこと。
その時、カウンターに入るのも島民の方。随所にさりげない工夫がされていて、一日中、ずっといたくなるような、リラックスできる空間でした。ご説明いただいた司書教諭の南部陽子先生、司書の竹花紀俊さん、福田聡子さん、ありがとうございました。
また、伺います。 -
2025年7月30日(水)、学習院女子中・高等科の学校図書館を訪問しました。
西早稲田駅から徒歩1分、重要文化財である正門(鉄門)に迎えられ、足を進めていくと、美しい煉瓦造りの建物が現れました。1階が中等科・高等科の図書館、2・3階が大学の図書館と、図書館のみで独立した建物です。
図書館の蔵書は14万冊以上。整然と並んだ書架に囲まれ、やわらかな光の差し込む閲覧席では、読書も勉強もはかどりそうでした。
当日は、図書委員の生徒さんがスタンプの受付や様々な企画・展示を担当していました。オリジナル栞作りや、読んだことのある作家や作品で競う読書ビンゴができる体験コーナーでは、大人も子どもも熱中して楽しんでいました。展示では、昨年の文化祭で実施したPOP形式のビブリオバトルの作品、図書委員会だより「赤煉瓦」と速報版のおたより「青煉瓦」を見ることができました。生徒さんから普段の委員会活動や文化祭に向けた準備などについてわかりやすく説明してもらいながら展示を見ていると、あっという間に時間が過ぎていきました。入ってすぐ左手に展示ケース、右手に洋書。面白そうな本が次々と目に飛び込んできます。
展示ケースの中には、卒業生の著作が飾られていました。
ムーミン特集と新着図書コーナー。
図書委員の選書した本や、おたよりの「青煉瓦」で紹介された本も展示されていました。
雑誌室の中にはどこでもドアが!
開いてみると……ドラえもんのマンガが入っていました。
書架の脇に並ぶ椅子。ここで本を選びながら読みふけるのもいいですね。
閲覧席は書斎のような雰囲気でした。
オリジナル栞作り。百人一首の書かれた色紙を3色の八重桜のスタンプで彩ります。
伝統的な文化や学校の歴史を大切にしながら、多様なメディアや生徒さんの感性も織り交ぜられた、奥深い魅力の溢れる学校図書館でした。 -
2025年8月24日(日)、今年度学校図書館スタンプラリー初参加となる、富士見中学校高等学校にお邪魔しました。
校内に入ると、可愛らしい手書きイラスト入りの案内表示が迎えてくれました。富士見中高では、さまざまな学びの中心となる学校図書館を「Learning Hub(ラーニング・ハブ)」と名付けていて、「L-Hub(エルハブ)」の愛称で呼ばれているそうです。
エルハブは2階と3階の二層からなり、それぞれに特徴があります。こちらは、スタンプラリーの受付が設けられている、ラーニング・ハブの2階入口。
図書委員の生徒さんにスタンプを押してもらいました。館内の案内も有志の図書委員さんがしてくれます。
入り口近くにある、学校資料と、部活・委員会、卒業生の活躍を紹介する「富士見中高」コーナー。ここ以外にもL-Hub内には、生徒の投稿が掲載された新聞記事を紹介する掲示板があります。
2階には、探究学習などの学びを支える本が多く集められています。グループワークがしやすい机や椅子、ホワイトボードなどが整備されていて、授業でもよく使われているそうです。
校内のあちこちに芸術作品が飾られていて、ラーニング・ハブの2階と3階をつなぐ階段の踊り場にも素敵なタペストリーが。作品近くにある二次元コードから、生徒が書く鑑賞文が読めるようになっているそうです。
次は階段を上がって3階へ!
3階には、おしゃれなカフェのような空間が広がっていました。奥の書棚には言語や文学の図書が並んでいます。
「おすすめファンタジー診断チャート」付きの特集展示は、図書委員さんが考えたものだそうです。素敵です!
スタンプラリー参加校の学校司書がおすすめする本のコーナーもありました。
新着本↓
英語の多読本↓
雑誌コーナー↓
雑誌コーナーには、特定の分野の本や資料を集めた「専門図書館」を案内するファイルが並んでいました。
2階の受付近くには「戦後80年 私たちの未来について考えるきっかけを」と題して、戦争と平和について考える展示コーナーが設けられていました。本だけでなく雑誌、新聞記事、資料館や美術館案内、映画や舞台のパンフレット、ウェブサイトのリンク集まで幅広く紹介されています。
書棚には、図書の近くに関連する分野のイベントチラシや新聞記事などが掲示されていました。さまざまなメディアからなる資料と工夫された展示によって、至る所に出会いや発見があってワクワクします。メディアや学校を超えて、広い世界とつながる「ハブ」を体現する空間だと実感することができました。