東京・学校図書館スタンプラリー

2025レポート32 田園調布学園中等部・高等部
2025年7月29日(火)、田園調布学園中等部・高等部の図書館を訪問しました。

ひとことで言うと「生徒からも教員からも信用され、使われている図書館」です。

①生徒も教職員も利用しやすい場所にある図書館
生徒昇降口に隣接する図書館は、職員室と同じフロアでもあり、また、図書館内の通路が教室への通路ともなっていて、休み時間には生徒が通るという、生徒の生活動線上にあります。
そして、その通路がなんとブラウジングコーナーになっています。 

写真の中央が通路、左手に雑誌書架、右手ソファを挟んで展示スペース、奥が生徒昇降口、手前側に中学生の教室があります。 
ソファに座って雑誌を広げたり、展示の本に触れたりすることができる配置になっています。
通路にソファ! 


展示スペースには、授業に関する展示、学校行事に関する展示、時事に関する展示、季節の展示と数多くの展示が複数展開されています。

②調べるための図書館

昇降口から入ってすぐにあるカウンターは、開放的で明るく、司書になんでも気軽に聞ける雰囲気です。

カウンターの隣(写真奥手)には、検索コーナーがあり、デスクトップパソコンが並んでいて自由に触れます。


検索コーナーには著作権に関する注意書きの掲示や、検索に役立つツールが完備。
校内で使われているデータベース「ジャパンナレッジSchool」のトリセツも。

③中学生の読書活動
図書館が各学年の教員団と協働して、読書教育に携わっています。

○中学1年「スタートライン」 
ブックリスト掲載書を読んで読書ノートに記録し、図書館に持参すると5冊ごとにシールがもらえる。
シールを集めるとよいことが。
リスト掲載本をブックトラックに別置。
 

○中学2年「14(イチヨン)」
 
14歳の1年間に読んでほしい14冊をリストアップ。
読むとシールがもらえ、感想を共有する掲示板がカウンター前に用意されています。
読書が一人だけの活動に留まらず、共有できるようになっていて、図書館からの「あなたの感想を聞きたい」という姿勢が感じられます。

○中学3年「15(イチゴ)」

15歳の中3生のために、中3の学年団の教員と共に司書が選んだ本。
この書架に並ぶ本は中学3年生限定利用の縛りがあります。
学年団のメッセージが熱い!

本を選ぶ生徒と司書が自然に会話を交わせるよう、カウンターのすぐ近くに各学年の書架やブックトラックが配置されています。

おとなから生徒への一方方向や押しつけではなく、生徒からの吸い上げの用意されている「双方向の読書活動」が、田園調布学園中等部の読書活動の大きな特色です。そこには「生徒の意見を聞こう」と耳を傾ける風通しのよい校風が表れています。

④校内での情報共有ステーション 
○教職員コーナー 

通り抜け通路の雑誌書架にある「教職員コーナー」。
現役教諭の論文が掲載された学術雑誌や著作物が展示してあります。
これは校長先生からの依頼によるもので、同僚の活躍を知ることが意図されています。
特に若い教員が先輩や同僚の活躍に関心を持つよう、あえて職員室内ではなくソファに座ってゆったりと読める図書館のブラウジングコーナーに置くことになったと伺いました。
実際に、先生方が閲覧利用しているそうです。
職員室と同じフロアにあり、「通路にソファ」の田園調布学園だからこそできる教職員のための図書館活用ですね。

○生徒の美術作品の展示 
教職員コーナーの奥に立てかけてある油絵は、美術の授業で生徒が描いた絵画作品。通り抜けのブラウジングコーナーは、美術作品を並べた展示スペースにもなっています。こちらは美術科の先生からの依頼です。1枚目の写真にも、ガラス面に生徒の油絵作品が並んでいるのが見えます。生活動線上にある図書館だからこその美術展示。生徒の成果物を校内で共有できる場所が図書館だなんて素敵ですね。

○中1探究「マイテーマの探し方」生徒の成果物 
探究活動の入門として、中学1年生が実践している清教学園 片岡則夫先生提唱の「画用紙1枚のミニ調べる学習」の成果物をクラスごとに綴じて展示。
この授業を担当している学年の教員や司書教諭が、それぞれ個人名の賞を出しています。
校内で共有できるよう、こちらも通り抜けブラウジングコーナーにて展示中。 



○中1理科「植物図鑑」生徒の成果物

検索コーナー隣のグラウンド側壁面に常設の理科の成果物展示コーナーには、卒業生の理科教育に関する新聞記事の掲示、理科の学習活動で生徒が使う文房具類の常備など、理科に関するものを集めています。 


⑤在校生にぴったりの蔵書構成

吹き抜けの高い天井の明るく広々とした館内に並ぶ書架には、清潔感のある本がズラッと並んでいます。
開架書架の本はどれも鮮度が良く、古く汚れた本がないので、10代の女子生徒が躊躇せずに手を伸ばせます。

0類から9類まで偏りなくバランスよい蔵書構成となっていて、専任の司書が学校に合う本をよく吟味して入れていることが分かります。
社会状況の変化に伴って、新しい内容の本を購入し、古い内容の本を除籍し、本の新陳代謝がきちんと行われています。 


演劇の書架には女子校らしく「宝塚」の表示がありました。

センシティブなジャンルについても、きちんと本が揃っています。
女子校なのでジェンダーの本が多いのはもちろん、有害な男らしさなど「男性性」に関する本もあります。

他人の目を気にせずにブラウジングできる棚並びで、他の人に知られず、ひとりでこっそりとデリケートな内容の本を手に取ることができる書架配置。

書架の間には一人掛けの椅子があり、見学時には利用者がゆったりと腰かけて本を読みふけっていました。

ロボットの棚は乱れていて、利用されていることを物語っています。


このように、田園調布学園の図書館は、生徒の生活動線上にあり生徒が普段使いしていて、教職員が「校内で共有したいものは図書館においてもらおう」と自主的に資料を持ってきたり、教職員と司書とが教育活動を協働したりと、学校図書館として十二分に機能している図書館です。

「図書館を見れば学校がわかる」と言われますが、蔵書構成から「偏見のない教養豊かな人を育む学校」であることがわかりました。

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